アヤワスカ体験記
※めっちゃ長文!
ペルーはチャスータという町のEl Duendeという宿にて。
ジャングルの中で初のアヤワスカを体験した。
アヤワスカはペルーのシャーマニズム文化に古くから伝わるナチュラルメディスン。
「聖なる真実」と呼ぶ人もいる。
植物が精神世界に働きかけ、ビジョンを見せてくれるそうだ。
前世や未来が見えたり、トラウマの原因を見たり、亡くなった親族が会いに来てくれたりするのだと、色んな経験談を聞いて楽しみにしていた。
最初ここでアヤワスカをする気は全然なかった。
ナウタでする予定があったし、現地のシャーマンにやってほしかったから。
ところがDuendeのあきこさん(この宿はフランス人ダビデと日本人あきこさんの夫婦による経営)によると、
300回以上アヤワスカを渡り歩いているアメリカ人が、
ここでフランス人のシャーマン「ブルーノ」とやるアヤワスカが断トツ良かったと言っていたそうだ。
それは私の心をかなり揺さぶり、結果、何度やってもいいじゃないかと思いここでやることを決意した。
この日は15時から、ブルーノのタバコポーチの儀式にも参加した。
タバコポーチはアヤワスカの前に禊気分でやるクリーニング儀式だ。ビジョンが見えるような代物ではない。
タバコポーチと言われる液体を大きめのおちょこ一杯飲みほした。味は悪くない。いぶされたコーヒーのようだった。
そこからの追い水。1.5ℓほどのジャグにいっぱいの水を渡され、全部飲み干すように言われた。
一気には無理だからゆっくり、飲めるだけ飲んだ。すぐに吐き気をもよおし、私が一番に吐いた。
ちゃんと一人一人にバケツが用意してあるので安心だ。
それでも先に飲んだタバコポーチはまだまだ胃に残っていて、何度も何度も追い水を飲んでは吐いた。
ちょうど1.5ℓを飲み干したころ、「もう全部吐いたな」という感じがした。頭も心もすっきり。
なるほどクリーニングだ。これは吐き残していたら結構辛いと思う。
この日の朝は9時ごろにショボショボのお粥を少しだけ食べていた。
それからは何も口にしていない。アヤワスカの儀式は20時からだったから、17時くらいにはお腹がすいて仕方なかった。
お腹がすきすぎてすでに気持ち悪く、胃液が出てきそうで、一旦寝て気分を紛らわした。
20時。ついに儀式が始まった。
私を含め、4人の参加者。
ドロドロの、甘ったるいシロップのような味のアヤワスカドリンクを飲んだ。
1回目はそれが胃に届くか否かというようなタイミングで早くも吐いてしまった。
いつかは吐くものなんだけど、早すぎると効き目が弱くなる。
最近のメディスンラッシュで吐き癖がついているのかもしれない。
あるいは体が本能的にこれから起こる危険を察知したのか。
10分もすると一番大人しかったフランス人のロイックが悪魔のようなうめき声をあげた。
「うううううううあああああああああああ!!!」
止まらない叫び。「ぜーはーぜーはー!」息苦しいようにも見える。
彼は何を見てるんだろう。うらやましいような怖いような。明日聞いてみよう。
みんなそれぞれに吐いたり効果が表れていたようだけど、私は先に吐いちゃったから全然だった。
ブルーノが二杯目のアヤワスカをくれた。できるだけ吐かないようにと頑張ったけど、それも二分後には吐いてしまった。
そして三杯目をもらった。
この時はブルーノが手を握って特別なおまじないをしてくれたせいか、吐かずに済んだ。
ところが今回は全然吐き気がやってこない。30分経っても。かといって効果も全然感じない。
なんなんだ。私はこの期に及んで真実を見たくないのかもしれない。
それならそれで、みんなの様子を観察するだけでもいいや。
だってもう飲みたくない。まずいんだもん。気持ち悪いんだもん。
トイレに立った。そしたら吐いた。
ブルーノが「トイレから帰ったら、もう一杯用意しておくね」と言ってくれた。
トイレから帰って、まだ次のアヤワスカを飲む決心がつかずに横になった。
アメリカ人のマットが上機嫌でギターを弾きだした。
それはとても美しい音色で、とても心地よくて…。
するとそれが引き金となったようだ。
みるみるうちに暗闇の中にビジョンが見え始めた。
曼荼羅のような、ぐるぐる渦巻き模様。
目を開けると、体がずしんと地底に潜っていくような感じがあって、体が動かない。声が出ない。重い、重い、重い、、、
もうブルーノの問いかけにも応えられなかったけど、それでブルーノは私が境地に入ったことを分かったようだった。
みんながアヤワスカを感じているのを見届けて、ブルーノが本格的に歌いだした。
ブルーノは本当にたくさんの声色を使い分ける。
オーストラリアのディジュリドゥのような地獄ボイスに、フルートのような天使の歌声、その合間に挟む縦笛のような音色。
ブルーノは楽器を持っていなかったのできっとあれも声なんだろう。すごい。
ただの藁ぶきの屋根の部屋が、オペラホールにでもいるかのように共鳴する。振動する。空間がゆがむ。
それに誘われるかのように、気づくと私は地底の異世界にいた。
蟻地獄のように布団から地下にのめりこんでいって、身動きの取れないカエルの王国にいた。
カエルの世界はグロテスクな嫌悪のエネルギーで充満していた。
さらに視界はずっとぐるぐる回っている。気の使えない人とコーヒーカップに乗ったときのように、ガンガン回されている感じだ。
気持ち悪くて気持ち悪くて、そこにいるのが嫌すぎた。
その感覚はとてもリアルで、私は地底にこの世界が存在するんだとすっかり信じ込んでしまった。
いや、なんなら今もまだ本当にある気がしている。
この世は本当はこんなに怖い世界の上に成り立っていたんだ。
知りたくなかった。世界は完璧で美しいものだと信じていたかった。
怖い、気持ち悪い。もうやめて。元の世界に帰りたい!
ブルーノが地獄ボイスをやるたびにこのイメージにとらわれていった。
ブルーノがカエルの親玉に思えて、もしかしてこいつがシャーマンの姿に見せかけて私たちを食おうとしているんだと割と本気で思った。
「もう歌わないで!」と言いたかった。
でも声が出ない。頭も働いてないから、何と言っていいかも思いつかない。
ただただその嫌な世界に取り込まれていく。
「もういい、もういい、もういい、」と息のような声で何度も繰り返した。
途中、寒くて我に返り毛布をかけようとするも、腕にも指にも力が入らない。
握力のないUFOキャッチャーみたいに触っては落として、ちゃんと体にかけることができなかった。
そもそも触った瞬間に頭が働かなくなって、どうやったら毛布をきちんとかけられるのか分からなくなって諦めた。
目をつむるとまたカエルの王国だ。
眠ってしまえば楽なのに、何かが覚醒して眠ることすらできない。
人生で断トツに一番気持ちの悪い時間だった。完全なる悪夢だ。
そうこうしているうちにブルーノの歌声が天国ボイスになった。
あの人はこうやって5時間も6時間も歌いっぱなしだ。本当にすごい。
天国ボイスになると、少し頭がまともに働くようになった。
カエルの世界から戻ってくることができて心底安心した。
地底にはこんな世界が本当にあるのかもしれないけど、たくさんの世界が存在する中、この作り物のような胡散臭いほど完璧な地球に生まれたことは、
やっぱり良かった。すごい良かった。
なんだったんだあのカエルの王国は。
本当に存在するものでなければ、きっと私の心の底にあるトラウマとか悪いやつなんだろう。
いまだにまだそれが何かはよくわからない。
単に対比でこの世の素晴らしさを知らしめたかっただけかもしれない。
ブルーノに言うと、「悪いビジョンがでてきたということは、良いクリーニングになったね」と言われた。
それから一人一人のご先祖様を思った。
もしも死後の世界が夢を見続ける世界なら、あんなような悪夢の中でずっとさまよってる人もいるんだろうか。
どうかすべての魂が楽しい夢の世界で暮らしていますように。本当に本当にお願いします。
このあと一人一人の家族やご先祖様についてのイメージがバーッと湧いてきて、
私は心臓あたりをなでながら号泣していた。
感謝や気づきが溢れてきて止まらなかった。
みんなが幸せそうなイメージで、それは幸せな時間だった。
午前一時頃、ブルーノが一人一人に締めの儀式をした。
それでようやく眠りにつくモードになれた。
今の気持ちとしては、もう二度とアヤワスカをやりたくない。
でも、毎回毎回違うビジョンを見るらしいから、一度くらい良いビジョンも見たい気もする。
やっぱり近々もう一度挑戦するか。。。
とにかく、他の参加者も言ってたけど、これを見てしまったら精神世界の存在を信じずにはいられない。
そう確信することができて、それは本当に良かった。
以上です!
長文を読んでくれてありがとうございます
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